経営工学とは

目指す人材像:「理魂文才」

経営システム工学科は国立大学では本学だけに設置されているユニークな学科です。

ビジネスにおいて不可欠な能力論理的思考力、システム的思考力、情報処理技術、情報獲得技術、こういった思考力、技術を持った人材を企業は求めています。本学科卒業生の進路をみても、金融業(銀行、損保・生保、証券)、商社、コンサルタント業、サービス業など、製造業以外の分野への就職が目立っています。また製造業でも商品企画やマーケティングの分野への就職が多いことも特徴的です。

経営工学者は、あらゆる分野・種類の問題に果敢に挑戦し、何らの方法論・手段を見出し、これをマネージする「理魂文才」のエンジニアです。そこで、次のような能力を備えた problem challenger の養成を目指しています。

・ 問題の構造化・モデル化を中心とする概念的能力
・ 事実を注意深く観察しデータを採取し解析する数理的分析能力
・ センスのよい問題の発見・定式化に基づく創造的・統合的な問題解決能力
・ 問題を媒介・伝達するコミュニケーション能力


ソフトな技術って何?

経営工学が扱う問題を皆さんの身の回りから拾ってみましょう。

【問題1】
A君が所属するサークルXでは、OBを招いたイベントを企画しています。そこで、約300名のOBに案内状を出すことになりました。

定形封筒に案内文と出欠を確認する返信葉書を入れます。封筒の表には宛名の書かれたシールと80円切手を貼り、裏には発信人住所・氏名のスタンプを押します。

このような作業を1年生10人で行うことになりました。なるべく短時間にミスなく行うには、どのような作業場で、どのような分担をするのがよいでしょうか。

【解説】 経営工学のルーツ

皆さんの持っている英和辞書で、Industrial engineering という言葉を引くと「経営工学」と訳されているのではなでしょうか。インダストリアル・エンジニアリングとは、主に生産工場における作業のやり方を科学的に分析して上手なやり方を設計する技術で、経営工学のルーツと言えます。問題1を解くには、このインダストリアル・エンジニアリングが有効です。


【問題2】
サークルXが企画したイベントには約100人のOBから出席の返事がありました。

イベントの中には、やや豪華なパーティーがありますので、会費は6,000円です。当日の受付をスムースに行うにためは、予めお釣りを用意する必要があります。

OBは皆、偉そうに1万円を出すのでしょうか。6,000円ぴったりを出してくれる人がいれば助かります。11,000円出してくれれば、5千円札をお返しできます。一定額のお釣りを用意するとして、お釣り切れをなるべく少なくするには、千円札と5千円札をそれぞれ何枚用意すればよいでしょうか。

【解説】 

生産に限らず、より一般的なシステムを運用するための科学として、OR(オペレーションズ・リサーチ)という学問があります。これも経営システム工学の主要な分野で、問題に確率的要素がある場合とない場合のそれぞれで、いろいろな最適化法が開発されています。問題2は確率的要素がある場合ですね。このような問題では、問題自体をきちんとモデル化・定式化することが大事です。それによって前もってシミュレーションすることもできます。経営システム工学が文系の経営学と違う一つの側面です。


日本が生み出した経営システム工学技法

上に例示した2つの問題と同じような構造を持った問題は、あらゆる業種のあらゆる部門で発生するでしょう。ですから経営システム工学は業種によらない共通的技術を提供していることになります。

実は、日本は1970年代にこの分野で先進的地位を築きました。

「工学の工は工夫の工だ」という言葉もありますが、日本人は工夫が得意です。JIT(ジャスト・イン・タイム)、TQC(全社的品質管理)という言葉を耳にした人もいると思います。このようなソフトな技術に支えられて、日本の自動車工業の生産台数は1980年に世界一になったのです。これらの技術には、大学等の研究機関が開発したものとともに経営の現場で創世されたものがあります。いずれにおいても、大学と産業界の連携プレーによって、推敲され精緻化され普遍的な方法論に高められたという経緯をもつものばかりです。経営システム工学では産学共同が他の分野以上に重要で、大学の研究室に閉じこもっていてはいけません。ところで、日本のこのような活動を、欧米の技術者達は、ただ傍観し手をこまねいていたわけではありません。その結果として1990年代以降、実務に直結した経営システム工学分野での欧米の巻き返しには、目を見張るものがあります。

今こそ、この分野は、フレッシュなセンスと行動力を必要としています。このようなソフトな技術の重要性が世の中で認識されるにつれて、企業からは経営工学技術者が要請され、経営工学関連学科は多くの私立大学で設置されるようになりました。

経営工学の現在

平成8年度に、大学院重点化として本学科の大学院は大学院 社会理工学研究科 経営工学専攻に改組しました。この新しい大学院では、本学科から進学した人はもちろん、多くの社会人や留学生が研究を進めています。

現在、我々は経営システム工学科を技術を生かす技術(テクノロジー・オン・テクノロジー)と位置づけています。

変化への対応が求められている現在の組織マネジメントにおいて、工学的・科学的アプローチに基づき、技術と人間に存在するあつれきの解消を図りつつ、多様な価値観を調和させた問題発見と解決を目指しています。

従来の経営工学は世界的にもプロトタイプとなっているいろいろな管理方式を蓄積してきました。現在の経営工学では、これを、開発から生産、流通、廃棄 / リサイクルに至る一貫したプロセスに対する管理技術に発展させています。また、コストやファイナンスを工学的・数学的に取り扱う財務経営工学が世の中のニーズに応えた新しい研究分野として確立しています。

File Updated: 10/9/09

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